えづら・あきと 1979年生まれ、 北海道出身。転勤(非農家)で全国を転々とし、大学進学を機に東京へ。卒業後は人材・教育系上場企業に企画営業職として入社。マネジメント業務を兼務。2009年に新規就農を志し、北海道に移住。3年の研修を経て、オホーツク地方、遠軽町白滝にて『えづらファーム』として独立。『白滝じゃが』などの畑作・インターネットでの直販・農家民宿、住み込み農業体験や企業研修の受け入れ・ヒンメリの普及活動などをおこなっている。
オホーツクや人口700人の過疎地域だからこそできることがある
北海道出身の江面暁人さんが東京から紋別郡遠軽町白滝に移り住んで8年。人材紹介会社で働いていた暁人さん と大手食品・化粧品会社で商品企画をしていた陽子さんは 結式を挙げた翌日に移住(!)して来たといいます。新規就農に挑戦し、現在は農家民宿なども手がける暁人さんにオホーツクの魅力とオススメを聞きました。
農業を志し、結婚式の翌日に移住
一江面さんはなぜ北海道に戻ってくることにしたのですか?
高校生まで北海道で過ごし、大学進学のため上京しました。いつか北海道に戻ってきたいと思っていて、自然の中で体を動かしたり、過ごすことが好きでした。東京で働いていた頃は7時前に家を出て、日付が変わるまで働いていました。仕事は充実していましたが、このまま東京で過ごすのか、もっと家族との距離が近い環境で過ごすのか特来的な人生設計を考えていた時に、北海道の農業に魅力と可能性を感じて移住することを決めました。
ー移住してからはどのようなことがありましたか?
2009年に妻と結婚し、同年北海道に戻って来たのですが、移住の相談をした時、妻はまだほとんど北海道に来たことがない状態でした。それでも妻は快諾してくれて、結婚式の翌日、2人で北海道に引っ越して来ました。北見市で1年間、現在の職場がある白滝で2年間の研修を受けた後に第三者承をおこない『えづらファーム』がスタートしました。
ー未経験の分野で苦労された部分も多いのではないですか?
今までの仕事より身体を使う分、大変だった部分もありますが、それよりも北海道に帰って来てからは明るいうちに帰れることや、仕事終わりに温泉や買い物に行けたり、家族と過ごせる時間が多くなったことがとても嬉しかったです。単に暑さではなく、身体を動かして汗をかくということが新鮮でとても気持ちが良かったですね。
人口700人の過疎地域で年間350人の農家民泊
一農業を始めてみてどんな発見がありましたか?
最初は一日中身体を動かすことばかりだと思っていたのですが、意外に機械に頼る部分が多いことに驚きました。また農業はトライアンドエラーの繰り返しで周りの状況判断がとても大切です。ゴールに向かっていかに効率的に達成できるかを考えなくてはいけません。これは前職での経験から人材育成にも活かせるのではないかと考え、今では企業研修の受け入れもおこなっています。
ー現在はどんなことをおこなっていますか?
畑作の他に先ほどの企業研修や農家民宿、住み込みボランティアの受け入れをしています。農家民宿は年間延べ350人ほどの受け入れをしていて、満室で宿泊をお断りするくらい年々増加しています。そのうち3割が海外からの滞在者です。企業研修もその後の勤務態度の変化やチームワークの向上など、とてもご満足をいただいています。
ーこれからはどんなことをおこなっていきたいですか?
これからも農業という固定概念に囚われず、その魅力や地方で暮らす楽しさ、豊かさを伝えられる場所をつくっていきたいです。住み込みのボランティアや農家民宿を通して、これまで農業と関わりの少なかった方に知ってもらえるきっかけになればいいなと思っています。
ーオホーツクで暮らす魅力を教えていただけますか?
子どもの成長を見るのにはとてもいい環境です。一見何もない大自然ですが、そんな環境で子育てをしていると、大自然の中から子どもが何かを見出し、その刺激を受けて育っていく様子を見ることができます。様々な面で選択肢は限られていますが、ここにしかないものもたくさんあるので、それらでどのように豊かに暮らしていけるかを考えるのはとても楽しいです。畑作の限界地と呼ばれているくらい、この地域は標高が高く、石が多いなど農業をおこなうには条件が良くありません。年々、人口減少や少子高齢化も進んでいます。でもこんなところだからこそ、チャンスはあると思っています。オホーツクはまだまだ あまり知られていない地域だと思うので、これからいかようにもできるはずです。それぞれの地域がそれぞれの特性を活かしていければいいのではないかと。これからだと思っています。