HARU ハル Okhotsk Tourism Magazine
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紡いでいくこと

12 月初旬、遠軽にある家庭学校を初めて訪ねた。
木漏れ日が降り注ぐ、穏やかな時の流れに身をおくと、
日常の緊張から解きほぐされるように感じる。
礼拝堂には敷地の森から切り出されたトドマツや地中から掘り出された、いにしえの火山石
が使われている。
100 年以上が経過した礼拝堂はそれ自体が自然の中の一部であり、自然の中に調和する。

 


家庭学校は地域の人々も自由に入ることができる。この地を求めた先人達が守り続けてきた
自然と営み、大切にしてきたものや思いに触れるとき私たちは癒され、
私もまた次世代に紡いでいく一員になろうと思う。


文責/遠 藤 友宇子

写真:沙留の港(黒沢徹也)

オホーツクの人々

オホーツクに暮らす人々。その活動と想いをお伝えします。

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清 澤  満さん

一路到白頭
(いちろはくとうにいたる)

町の市街地から北西へ4キロ余り、学校の正門に立つと凛とした初冬の冷気が全身を包む。北海道家庭学校は1914(大正3)年に、日本の社会福祉の先駆者であり感化教育の実践者として知られる留岡幸助により、東京巣鴨の家庭学校(当時)の分校として創立された。学校は「森の学校」とも呼ばれ、東…

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徳 村  彰さん
徳 村 杜紀子さん

森は多様な生命が息づく場所

私が滝上町滝西の「森の子どもの村」を取材に訪れたのは12月29日。今年のオホーツクは雪が少ないとはいえ、村のある「熊出の沢」は滝西から更に天塩や大雪の山々に近いオホーツクの一番奥、すっかり雪に埋もれていた。1991年以来、徳村夫妻(おじじとおばば)は電気もガスもないこの森の小屋…

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高橋 修平さん / 片倉 靖次さん / 岩本 勉之さん / 桑原 尚司さん

紋別は流氷研究国際都市 
~〝青田イズム〟を引き継ぐ4人の科学者たち~

 流氷研究国際都市を標榜する紋別市では毎年2月、国内外の研究者が集まる北方圏国際シンポジウム「オホーツク海と流氷」が開催されてきた。その生みの親の一人は、流氷博士として知られた故・青田昌秋氏(1938...

これが、本物のオホーツク

オホーツクツーリズムを発信するフリーペーパーとして2018年に全面リニューアルし、5年目を迎える「HARU」。オホーツクの地に根差した生き方を実践する人々の姿を取り上げ、この地の醍醐味を伝えてきたが、旅行商品としてパッケージ化できないか。そうした思いから、一般社団法人オホーツク・テロワールは遠紋各地の観光協会の協力のもと、初のモニターツアー「『本物のオホーツクに出会う旅』HARUツアー『初冬のオホーツクのテロワールを堪能する』」を21年11月27、28日に遠軽・滝上両町を巡るルートで行った。郷土史や食文化に関心のある管内外の住民をはじ
め、遠紋・上川北部の観光関係者も含む計23人が参加。風土が生んだ景観・食・歴史・文化に触れながら、枯野の山河の時空間に身を浸した。当日のツアーの模様をお伝えする。

 今回の旅で訪ねたのは、フリーペーパー第1号で取り上げた、遠軽町白滝支湧別で「えづらファーム」を営む江面暁人さんと、30年ほど前に大阪から滝上町に移住し木工や郷土史探究など多方面で活躍する竹内正美さんの2人。集合場所の丸瀬布駅前は一面の雪景色となり、初冬の旅にはもってこいのムードで出迎えてくれた。

素朴な甘み、白滝じゃが食べてみたら違いに納得

 旭川・紋別自動車道白滝ICから5分ほどで江面さんの農場に到着。標高400m前後の高地にある白滝で育つ「白滝じゃが」は昼夜の激しい寒暖差によってゆっくりと熟成されていくことで、甘みとでんぷん質が多くなるという。収穫した芋を熟成させる石倉を見せてもらった。倉の中は程よい涼しさだったが、冬が進むにつれて室温はもっと下がっていくそう。江面さんによると、気温が
3℃を下回るとジャガイモは「冬眠状態」となって発芽が抑制される。すると成長にエネルギーを費やさなくなるので、芋は自ら甘みを蓄え始めるという。「白滝じゃが」の旨みはこうして作られるのだ。
 このあと、育った芋をボイルやフライドポテトでいただいた。品種によって味わいが180度変わる。「男爵」はとろみがあり、黄色い果肉の「インカの目覚め」はほくほくとした食感。塩を振らなくても芋本来の力強い甘みが感じられた。妻・陽子さんと小学生の娘さんが納屋の中の石窯で焼いたピザも絶品だった。
 ただ食べるだけでは終わらないのがこのツアーの売り。農場を出発し、北大雪スキー場の前に広がる天狗平に到着すると、白滝ジオパークのビジター施設である町埋蔵文化財センターの学芸員が白滝じゃがの旨さの秘訣を地質の視点から教えてくれた。130万年前の噴火で発生した火砕流により白滝一帯には火山灰が降り注いだ。これがジャガイモの栽培に適した水はけのよい土壌の形成につながったのだという。火山活動の生んだ土壌が産業の礎を作り、今日に至るまで畑作の営みが続いている。参加者らは納得した様子で説明に耳を傾けた。

滝上町の栄華を支えた森林鉄道の橋脚に圧倒

 旭川・紋別自動車道で奥白滝から浮島まで進み、滝上町中心部へ向かう途中に濁川森林鉄道の橋脚が随所に現存している。ここからは竹内さんの案内で橋脚が見えるスポットを巡った。雪がしんしんと降る中、滝西の笹藪を進むと、川の中にそびえ立つコンクリートの柱が見えた。これが橋脚だ。1959年に廃線
となって60年以上が経過しているが、橋脚は劣化せず当時の姿を維持している。町観光協会による「たきのうえ地元学」がきっかけで森林鉄道の成り立ちを熱心に研究してきた竹内さんは「他のまちに比べ、滝上の森林鉄道は歴史が浅い。その頃にはコンクリートの製造技術が確立し、強度が改善された」と熱っぽく解説してくれた。
 2日目は竹内さんが滝上で歩んできた人生の足跡を辿った。濁川市街地から奥まったところにある雄柏の林道を進み、雪深い高台に上ると渚滑川とオシラネップ川の分岐が見えた。喧騒が無く、風の音だけがただ聞こえる静寂な空間。心を無にしながら自然の中に身を委ねるひと時を過ごした。ちなみにこの高台は、滝上出身の小説家、小檜山博による原作の映画「光る女」のロケ地になっていたという。
 コーヒーブレイクを兼ね、国道273号沿いにある竹内さんの工房兼自宅も訪ねた。木の温もりに満ち、日向ぼっこができる縁側もある。他人の家に上がり込んでコーヒーをいただく--。普通に考えればあり得ないことなのだが、どこか居心地の良さを覚え、ゆったりと時間が過ぎていく。人生の理想郷を滝上に求めた竹内さん夫妻の丁寧な暮らしぶりがそこにはあった。
 昼食は火曜・水曜だけ営業するカフェ、その名も「KAR-SUI(かーすい)」でいただいた。昔から町の中心部にある喫茶店をリフォームしてオープンしたのがこのお店。カウンターの下には竹内さん特製のベビーベッドが置いてある。「元々は保育士になりたかった」と云う竹内さんの母と子を想う心が随所ににじみ出ている。面白いのはパブと厨房でつながっている所。「KAR-SUI」とは打って変わった昭和レトロ感漂う酒場はなかなかオツなものだ。

遠紋の風土生かしたグルメのフルコース

 宿泊先のたきのうえホテル渓谷では遠紋の風土が育んだ食材をふんだんに使い、料理人が腕によりをかけたスペシャルディナーが登場した。フランス・リヨンの郷土料理「セルヴェル・ド・カニュ」に仕立てた滝上産フレッシュチーズ「月のチーズ」は、紋別産サクラマスの燻製との相性が抜群。チーズの酸味が、香り高く肉厚な燻製の旨みを引き立てた。興部産ゴーダチーズと滝上産牛乳、オホーツク管内産野菜をふんだんに使ったクリームシチューは特に絶品。濃厚なコクがありながらもサラッとした味わいで、参加者から「本物志向の食材で作った料理は旨い」と好評だった。
 ちなみのホテル渓谷の朝食バイキングでは長屋栄一町長が生産を手掛ける「たきのうえ地鶏」の卵がけご飯が数量限定で味わえる。黄身は濃厚で、これを食べれば最高な一日のスタートが切れそうだ。
 2日間を通じて遠紋の産業や歴史、人に触れた参加者は「初めて知ることが多く、とても有意義なツアーだった」「観光プログラムを作る上で参考になった」などと感想を話していた。モニターツアーの第2弾は近く催行を予定している。

information オホーツクエリア情報

※新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、記載内容が変更または中止になる場合があります。

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家庭の愛と学校の知にあふれた「北海道家庭学校」と後援会

家庭学校は、家庭やその他の環境上の理由から生活指導が必要となった子どもたちに、自立のためのサポートを行う児童福祉施設です。多くの方の理解と支援が学校の働きを支え運営されています。

 

後援会入会と施設見学/通年 住所/遠軽町留岡14
お問い合わせ/北海道家庭学校  ☎0158-42-2546

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道の駅「遠軽森のオホーツク」

道内初スキー場を併設した道の駅。冬期以外は「ジップ・ライン」など体験アクティビティが充実している。フードコート「ENGARU TERRACE」では、「白滝じゃが」など遠軽町の食材を活かしたメニューが楽しめる。

営業時間/9:00~18:00(トイレは24h) 住所/遠軽町野上150番地1
お問い合わせ/☎0158-42-4536

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東洋一スリリングな
「ジップ・ライン森のOWL(アウル)」

道の駅「遠軽森のオホーツク」に昨年8月にオープン。スキー場の傾斜を利用した「ジップライン」で、その傾斜は25%あり東洋一のスリリングを体感できる。また晴れた日には、オホーツク海やサロマ湖を望むことができる。

※営業日は「遠軽森のオホーツク」のHPで確認して下さい。
営業時間/10:00~16:00(最終受付15:00) 住所/遠軽町野上150番地1
道の駅遠軽森のオホーツク内 利用料金/3,500円(遠軽町民は半額)
お問い合わせ/☎0158-42-4536

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ギザで流氷を見て!触れて!学ぶ!「北海道立オホーツク流氷科学センターGIZA」

-20℃厳寒体験室に間近で見る本物の流氷は迫力満点。またオホーツク海の魚介類を氷漬けにした流氷水族館や凍るシャボン玉体験は必須!360度スクリーンのドームシアターと、たくさんのクリオネもぜひご体験下さい。

開館時間/9:00-17:00 月曜、祝日の翌日休(1月4日~3月31日休館日無し)住所/紋別市元紋別11番地 入場料/入場+シアター750円(高・大250円)、入場のみ450円(高・大150円)、中学生以下 無料
お問い合わせ/☎0158-23-5400

Okhotsk Information オホーツクのお知らせ

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編集部より

HARU4号の表紙はメタファーに満ちています。凍てつく海、流氷に閉ざされた港、灰青色の雲の合間から降りてくる光、寒空を上へ上へと向かう一羽の鳥。あらゆる生命の営みを圧しとどめるかの様な真冬のオホーツク。しかしその重く押黙った静けさの下には確かな力と生命が、その芽吹く時のために、息づいています。
HARU4号が取り上げたテーマは、「オホーツクの伝え遺すべき学び、教え」です。取材を通し、その学びや教えを導くものは「人」ではなく、オホーツクという「自然」なのではないかと思いました。人はその媒介者に過ぎない。「ハル」は「自然からいただくもの」を意味するアイヌ語です。とすれば、学びも教えもまたHARUなのだと思います。(長)

​HARU vol.04

2022年3月発行

 

発行/一般社団法人 オホーツク・テロワール(代表理事 大黒 宏)  発行人/古谷一夫・長南進一
編集・デザイン・印刷/株式会社 北海民友新聞社
表紙写真/黒澤徹也(興部町)  取材・写真/遠藤友宇子・古谷一夫・長南進一・瀧澤信行(株式会社 北海民友新聞社)・髙橋裕夢(株式会社 北海民友新聞社)
写真提供/北海道家庭学校・株式会社 北海民友新聞社

 

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