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村上 龍二さん

むらかみ・りゅうじ|1976年に北海道雄武町に生まれる。18歳のとき、家業の漁師を継ぐ。雄
武町鮭定置部会に所属、東豊漁業部に勤務する。妻と2男1女、母の5人家族。毎年秋に行わ
れる、うまいもんまつりの仕掛け人としても知られ、雄武町の活性化に精力的に活動している。

持続可能なオホーツク海を次世代に

村上さんは、雄武町漁業協働組合の鮭定置部会に所属し、東豊丸の舵持ちをつとめています。また秋に行われる、うまいもんまつりの仕掛け人としても知られ、雄武のよさを他の地域の方たちにも知ってもらうための活動を精力的に行ってきました。オホーツクの海に生きる村上さんの思いと生き方を語っていただきました。

 

 

海とともに生きる、仕事と生活

―――鮭の定置網漁ではどんな仕事をするのですか?
村上さん:鮭の定置網漁の仕事は、オホーツクの雪解けがはじまる3月からはじまり、9月の網いれに備えて型や網・ロープの修理をはじめます。「型」とは、海に入れて網を押さえておくためのものです。型を固定するために70貫(約262キロ)のアンカーを船につみこみ、投げ入れ、海の所定の位置に入れていきます。この仕事は7月の地域のお祭りが終わったあと、約2週間続きます。炎天下の中大変厳しい仕事です。鮭の漁期は、9月3日からです。他の魚種をとっている漁師仲間たちの力も借りて海に網を入れていきます。海に網が入っている間は、時化ていない日は、ほぼ毎日出航し、妻たちが待つ浜に戻ると鮭の選別をします。数年前にオホーツクを拠点として活動するフルートとギターの夫婦ユニット「ホラネロ」さんが鮭漁に同行しインスピレーションを受け、「アバリ」と言う曲をつくってくれました。

―――アバリとはなんですか?
村上さん:アバリは網を修理するときに使う、漁師の専門的な道具のことです。ホラネロのおニ人は、広い作業場のなかで屈強な海の男たちが、淡々と網を修繕する姿に次の世代に伝統を受け継ごうとする強い意志を感じたといいます。東豊丸が出航するエンジン音やかもめの鳴く声、オホーツクの鮭漁の様子をホラネ口さんの曲に乗せて動画を撮影しました。よかったら、携帯電話で下記のQRコードを読み取り、動画にアクセスしてみてください。この映像と音楽を通じて、オホーツクで暮らす、わたしたちの生活や仕事の風景を読者のみなさんに感じていただけると思います。


浜の仕事は家族や地域が一丸となって

 

―――鮭定置網漁のほかにはどんな仕事をしていますか?
村上さん:5月10日過ぎの約2週間とお盆明けに約10日、ホタテ稚貝を養殖する仕事があります。5月はじめに、採苗器という養殖に用いるホタテの胞子を付着させて採取するための道具を海に入れます。お盆明けに、採苗器を海から上げ、小指のつめほどの小さいホタテの子を養殖カゴに入れて、海に戻します。そしてそのカゴを翌年の5月まで海に入れて、流氷が来るオホーツクの雄大な海のゆりかごの中で育てます。ぼくたちの仕事場では、5月の稚貝養殖の仕事には雄武町内や近隣の町から60人くらいの出面さんが手伝いに来てくださいます。僕の妻や高校生になる長男と長女も浜に出て一緒に仕事をします。

―――今日はうに採りの仕事もあったのですか?
村上さん:ちょうど今の時期はうに漁の時期でもあります。うに漁は個人仕事なのですが、4月から7月10日頃まで時化ていないとき、朝5時に漁に出ます。僕が取ってきたウニを妻がむいて、一夜漬けを作って瓶詰めにして販売もしています。

 

 


流氷とプランクトンが作る豊かなオホーツク海をこども達に残していきたい

―――村上さんはいつごろ漁師になることを決めたのですか?
村上さん:僕は3人兄弟の次男なのですが、中学生の頃から「自分がやらなきゃ」という気持ちがありました。今も7月半ばからお盆前まで昆布漁をしていますが、子どものころから兄弟3人で昆布の手伝いをしていましたね。いまは、妻をはじめとして、母やこどもたちが手伝いをしてくれています。

―――漁師になったときどんなことが大変でしたか?
村上さん:最初は船酔いが大変でした。船酔いをしないためには水平線を見ることが良いのですが、船の上で仕事をしていると水平線をみてばかりはいられません。僕は3日くらいで慣れました(笑)人は無意識に体の平行を保とうとするようで、足場が不安定な船の上で日常的に仕事をしていると体の芯が鍛えられているようです。子どもと船に乗ったとき、「お父さん、体幹すごい!」って言われたんですよ。末っ子は現在小学校5年生なのですが、将来は漁師になりたいと言っています。オホーツクの海は、冬の間流氷で閉ざされますがそれが資源の回復に役立っているという話も聞きます。そして流氷がくることで雑草藻が取り除かれ、昆布などの有用で品質のよい海藻が育ち、昆布を餌とするウニや海藻の林に棲む小さな生き物たちを食べるカニなどの漁業資源も豊かになるということも聞きます。子どもたちのためにも持続可能な漁業で豊かなオホーツク海を守っていきたいです。

―――お休みの日はどんな風に過ごしていますか?
村上さん:家族や仲間とバーベキューをしたりします。自分でとったツブや工ビを焼いて食べたり、各自が捕った魚介を持ち寄って楽しみます。家から見える日の出岬の景色や満天の星空は雄武の好きな風景です。

 


クラシックカーが結ぶ新たなつながり

―――村上さんの趣味はなんですか?
村上さん:クラシックカーが好きなんです。それで、休みの日に富良野や旭川、鹿追などで行われるクラシックカーフェスティバルに足を運んでいました。そこで新たなつながりが生まれて、クラシックカーの仲間たちが雄武にも来てみたいと言ってくれたため、うまいもん祭りにあわせて開催しようということになりました。当初は60台くらいのクラシックカーが全道から集まったのですが、今は100台を越えています。皆、雄武のおいしいものを食べて、オホーツク海が一望できる日の出岬の温泉にはいって雄武を満喫して、また翌年来てくれるのです。みんなの喜ぶ顔を見ることは本当に嬉しいことです。ぜひみなさんも一度オホーツク雄武に遊びにいらしてくださいね。お待ちしています!

 


\この記事を書いた人/
遠藤友宇子|雄武町で曽祖父時代より漁業を営む一家の一人娘として生まれる。京都での学生生活を経て、出版社「ぎようせい北海道支社」で3年の勤務を経て、生まれ故郷に戻りオホーツクの魅力発信に努めている。

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